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2009,09,28, Monday
夜明け・・・ 窓際に置かれたベットから、薄くピンクがかった空が見える。 隣に寝ている君の肩の辺りが、その光を受けて淡く光る。 そしてその肩は、息を吸うのに合わせて上下に動いている。 突然のきっかけを掴んで、けれども充分にゆっくりと時間をかけて膨らみ、一瞬の沈黙を挟んだ後、まるで世界の全てを引き連れていくようにもとの位置へと戻っていく。 それは海のようだった。 砂浜に寄せては退いて行く、あの歌うような動き、それが今、ここにある。 ぼくはその上下する鎖骨や首や顎、胸の辺りなんかをしばらく眺めてから、目を閉じて、 僕の鼻の数センチ先にある君の肩に、そおっと鼻をくっつけて、その匂いを吸い込んだ。 昨日買ったばかりの薄い部屋着のまま、君は眠ってしまっていたから、その新しい生地の匂いが、 「トップノート」 それから、いつも僕をクラクラとさせる、為れ親しんだ君の匂い、それが、 「ミドルノート」 それはしばらく続き、僕はその香りに埋もれて漂う。 僕がじっとしていても、君の肩は呼吸に合わせて上下に動くから、こそこそと、ぼくの鼻をこすり続ける。 匂いの感覚は、音や色のように、何かに記録する事が出来ない。 けれども、それは決して曖昧なものではなく、言葉からも遠く離れているから、その分だけ心と直接つながっている。 それは、どうしようもなく確かな感覚で、強力だからこそ、人はそれに麻痺しやすい。 いつもそこに在れば感じなくなり、無くなれば大きな損失を感じる。 僕は今まで何度、この匂いを失いかけただろう。 この匂いは、二人で裸でいる時のような、意思と方向性を持って、直接僕に襲い掛かってくる匂いとは確実に違う。 もっと奥の方の、もしかしたら宇宙のもっと先の方…みたいな所からやってくるのかもしれない。 僕は少し体を起こして、これ以上部屋が明るくならないように、開けっ放しだったカーテンを閉めた。 まだ二人が眠りについてから二、三時間ほどしか経っていないのだから。 僕のこんな様子を君は知らないけれど、もしかしたら君もどこかで僕の匂いを感じているのかもしれない。 訊いてみたい気もするけれど、それはやめておく。 言葉にした途端に、匂いの感覚は実体を消してしまいそうな気がするから。 そして、目が覚めたら、僕はまるで初めてのような気持ちで君にキスをするだろう。 この感情、それは体感、そしてこれが、 「ラストノート」 幸も不幸も飛び越えて、善と悪からも踏み外したそれは、もしかしたら愛とか言うもの、そのものなのかもしれない。 Text / takahashi pierre
| 06:50 PM | コメント見る?する?comments (0) |
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