寄り添う音楽、姉と、
--color side--
彼が21歳のころ、
3歳年上の姉は小さな喫茶店を一人で守っていました。
その頃、既に離婚暦があった彼女は、 再び家に帰ってきた後、
廃屋同然となっていた父の店を、 1年かけて自分の力で作り直し、
自分の店として開店させたのです。
店の名前は「風見のつばめ」
新しく出来上がったそのお店は、姉の心の中の、
父の存在と自分自身の関係に最もしっくり来る空間であり、
彼女にとっては、自分の存在そのものを表明する場所でもありました。
そこには不思議と多くのサンパティックな人たちが、お客さんとしてやってきました。
弟である彼から見ても、その店にいる姉の姿はどこか不思議なコントラストを持って魅力的でした。
それ以前の彼女の雰囲気とは、少しだけ違っていましたけれども、
それが必ずしも彼女の本質ではないことが、弟にはなんとなくわかっていました。
だから、父を亡くした後、逃げ急ぐように結婚して去っていった姉が、
以前にもまして元気いっぱいに振舞っていた姿には、うっすらとした違和感をかんじていたのです。
その後、姉がどういう時間を過ごして再びこの家に帰ってきたのかは弟の知るところではありませんでしたが、
新しく作り上げた店はシンプルでどちらかというと地味であり、
姉自身の雰囲気は、むしろその中でフワリと輝いてくるのでした。
彼女は、いつも必ず、どこからか摘んできたりした花を、
1輪挿しにして店にどこかに生けていました。
2、3日おきに違った色の花を生けていましたから、
頻繁に通ってくるお客さんにとっては、むしろカラフルな印象を与えたはずです。
見た目の色の多さではなく、ある程度の時間を通して感じる色のバリエーションです。
それは、彼女が身に着けていった揺れ動く心の色のようなものでもあったのかもしれません。
彼女は自分の弟を店の一番いい席に座らせて、
その花との調和を確認しては、微笑むのでした。
弟は、若い頃の父とどこか似ているような感じがあったからかも知れません。
それがいかに罪な事であるかは、彼女にも判っていました。
だからこそ、彼女は弟を愛したのかもしれません、
でもそれは彼女にも説明の出来ないことでした。
もしかしたら、弟を可愛がっていた父の真似をしていたのかも知れませんが、
その愛し方は父のそれとは同じになど、なり様がありませんでしょう?
様々な色が、浮かんでは消えます。
その頃、姉が店で良く聞いていた音楽も、そんな彼女のこころを感じさせてくれます。
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@AZURE /LOUIS PHILLIPPE (XIII Bis record)
「陽が落ちた直後の凪いだ海は1秒ごとに色を変え、思いの数だけカラフルに染まるようです」
@april march and los cincos / april march and los cincos
(simpathy for the record industry)
「エデンの風景にも似た秘密の世界は、不安定でもあり、また不思議な平和でもあり。」
@JHON HICKS/JOHN HICKS(Theresa records)
「ピアノとビブラフォンは似ています。しかし、アンサンブルさせた時の微妙な揺らぎは、姉と弟の姿だったのかも知れません」
@Versions Jane/jane birkin(PHILIPS)
「ゲーンスブールの様には歌えないけれど・・・なんて言いながら、janeが彼女にとってのかわいいsergeをそっとわけてくれます」
@ByeByeBeaute/CoralieClement(EMI)
「兄バンジャマンの夢の中で、妹コラリーは無邪気に微笑みを輝かせて見せます。微妙なバランスを測りながら・・・」
@a fading SUMMER ep / the clientele(march record)
「clientele(常連客)、fading summer(去り行く夏)、
extended play(引き伸ばされた遊戯?)」
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